B7. 自己基盤④ 価値観を統合し、Beingとして生きる ─コーチングの深まりは「自分の軸」の明確さに比例する─

優れたコーチほど、目立った技法を使いません。それでも場には安心感が生まれ、クライアントは自然と深い話を始めます。その違いを生み出しているものは何でしょうか。
CBLでは、その核心を「価値観が統合されたBeing」にあると考えています。
本講座B7「自己基盤④」は、正しい価値観を見つけるための講座ではありません。今の自分が大切にしているものを丁寧に受け取り、そこから自分の存在の軸(Being)に立ち戻れる感覚を育てていく時間です。

価値観とは、内側の羅針盤である

価値観とは、「何が大切か」という好みの話ではありません。
それは意思決定の基準であり、行動を導く内的な羅針盤です。私たちは日々、無数の選択をしていますが、その一つひとつは、意識しているかどうかにかかわらず、価値観によって方向づけられています。そして重要なのは、価値観とBeingの関係です。価値観は行動の動機となり、Beingはその人の存在の在り方を形づくります。行動は価値観から生まれますが、その価値観そのものは、どんなBeingで生きているかによって滲み出るものなのです。

価値観の衝突は、統合への入り口

「成果も出したいが、心の平穏も大切にしたい」
「人の期待に応えたいが、自分を犠牲にはしたくない」
このような葛藤は、未熟さの証ではありません。むしろ、どちらも本気で大切にしたい価値があるというサインです。
価値観の統合とは、どちらかを我慢することではありません。より大きな在り方を見出し、両方を包み込むBeingに立つことです。そのとき、行動の選択肢は広がり、内面には静かな力が生まれます。

Beingとは「成果を超えた存在の質」

Beingとは、成果や役割を超えた「存在の質」です。それは、「何を達成したか」ではなく、「どのように存在しているか」によって示されます。Beingが整っている人は、常に安定しているわけではありません。揺れることも、迷うこともあります。それでも、立ち戻ることのできる内的な拠り所を持っています。
だからこそ、周囲に過剰な影響を与えようとせずとも、自然と信頼が生まれるのです。

Beingは循環の中で深まっていく

Beingの確立は、一度言語化して終わるものではありません。
経験し、内省し、再び統合する――その循環を通して、少しずつ深まっていきます。
「私は、〇〇なBeingで在りたい」
この言葉も完成形である必要はありません。今の自分にとってしっくりくる“仮の言葉”で十分です。成長とともに、書き換わっていくものだからこそ、意味があるのです。
コーチングとは、クライアントの変容を支援する営みであると同時に、コーチ自身が自分の真実を体現して生きる営みでもあります。価値観が統合されたBeingに立ったとき、コーチングは技法を超え、存在そのものが影響力となるのです。

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久