
コーチングの出発点は「Doing」ではなく「Being」
コーチングの本質は、スキルや手法といった「Doing(何をするか)」よりも、コーチとして「どう在るか」という「Being」にあります。
CBLコーチング経営アカデミーの第1科目「コーチングの基盤・在り方」は、コーチングとは何かということを考え、このBeingとしての出発点を丁寧に探究する講座です。単なる技法の習得ではなく、コーチングを行う自分自身の在り方を見つめ直し、信頼関係と変容を生み出すための根源的な姿勢を築きます。
現代の経営環境や人間関係の複雑さのなかで、クライアントは「解決策」以上に「安心して自分を開示できる場」を求めています。その場をつくるのは、コーチの言葉ではなく、存在そのものです。この科目では、コーチとしての自己理解、他者理解、そして人間観にまで踏み込みながら、関わりの質を決定づける内的基盤を明確にしていきます。
コーチの在り方を形成する3つの柱
本科目では、CBLが重視する3つの基盤的要素を中心に扱います。
1. 自己認識と内的安全性
コーチは、自分の価値観・感情・反応パターンを客観的に理解することから始まります。
「クライアントにどう見られるか」よりも、「自分がどんな状態で関わっているか」に意識を向けること。これにより、セッション中に不安や焦りが生じても、それを抑圧するのではなく観察できるようになります。内的安全性が高まるほど、クライアントにも安心が伝わり、真の対話が生まれます。
2. コーチングマインドと倫理的姿勢
信頼は「正しさ」ではなく「誠実さ」から生まれます。コーチングマインドとは、相手を尊重し、判断を保留し、可能性を信じる姿勢のことです。倫理やプロフェッショナリズムは単なるルールではなく、クライアントとの関係を守るための愛の表現です。コーチとしての在り方を形づくる「見えない土台」を学びます。
3. プレゼンスと関係性の質
優れたコーチは、言葉よりも「在る」ことで影響を与えます。
プレゼンスとは、クライアントの話を聞く以前に、その場全体とつながり、共に呼吸する力です。コーチングでは「いまここにある」ということを大切にしています。プレゼンスについては、B1からの講座で詳しく扱います。A1ではポイントのみお伝えします。
自分という「器」を整える学び
コーチングは、知識を積み上げる学問ではなく、自分という「器」を磨き続ける実践です。CBLコーチング経営アカデミーでは、自己探求のワークやリフレクションを通して、「私はどんな存在としてクライアントに関わりたいのか」「どんな在り方で相手の成長を支えたいのか」という問いに向き合います。他者を導く前に、自分自身をコーチングする──それがこのアカデミーでの最初の学びです。
次のステップへ:Doingを支えるBeingの確立
この基本コースは大きく3つのシリーズに分かれています。A1~A10シリーズではコーチングの全体像を掴んで頂くことを目的にしています。B1~B10シリーズは、コーチとして最も大切な「プレゼンス」、C1~C12シリーズでコーチングのスキルを学ぶという構成になっています。
傾聴・質問・構造化といったスキルは、コーチとしての「在り方」が確立してこそ真に機能します。この講座を通じて、「スキルを学ぶ人」から「人の変化を支える存在」へと変化していく自分を感じることでしょう。
CBLが大切にしているのは、コーチングを“職業”ではなく“生き方”として体現することです。A1「コーチングの基盤・在り方」は、その第一歩として、自分自身と深く向き合う時間です。
国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC)
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久
