B5. 自己基盤② 自分の「基準」を生きるということ ─ねばならないを手放し、選び直す力を取り戻す─

「もっと頑張らなければならない」「断ってはいけない」「期待に応えねばならない」
私たちは日常の中で、数えきれないほどの「ねばならない」に囲まれて生きています。
しかし、もしそれらを一つひとつ手放したとしたら、いったい何が残るでしょうか。

本講座B5「自己基盤②」では、自己基盤をさらに深めるテーマとして、基準と境界線を扱います。ここでいう基準とは、自分や他者を縛るルールではありません。自分の尊厳と選択を守るための内的コンパスです。

基準とは「自分を敬う在り方」

基準とは、「自分の自尊心を保つために必要な行動や態度」を指します。外側から与えられる評価基準ではなく、内側に向かって「私は、こう在りたい」「ここまでは引き受け、ここから先は引き受けない」と自分自身と交わす約束です。
私たちの人生の結果は、偶然ではなく、これまで積み重ねてきた選択の結果です。
「言うべきことを言ってきたか」「言わなくてよかったことを言わなかったか」
その一つひとつの選択の背後には、必ず“自分なりの基準”がありました。問題は、その基準が無自覚なまま使われていることです。
この講座のゴールは、基準を高くすることではありません。自分の基準を、自分で選び直せるようになることです。

高い基準とは、自分を追い込むことではない

高い基準とは、完璧を求めることではありません。

  • 言動が建設的である
  • 自分の周囲に起こることに責任を持つ
  • 他者が正しいという可能性を受け入れる
  • 自分に平和をもたらすだけの蓄えを保つ

これらはすべて、「自分を粗末に扱わない」という一つの姿勢に集約されます。基準を引き上げるとは、自分を責めることではなく、自分の人生を自分の手に取り戻す行為なのです。

境界線は、拒絶ではなく尊重のためにある

もう一つの重要なテーマが境界線です。境界線とは、自分の魂・心・マインドを、不健全な行為や攻撃的な関わりから守るための線です。それは同時に、「自分が誰であるか」「誰でないか」を明確にするものでもあります。
NOと言うことは、相手を否定することではありません。自分を大切にする選択です。境界線があるからこそ、人はのびのびと存在でき、互いを尊重した関係を築くことができます。

基準と境界線が整うと、自己基盤は安定する

基準と境界線が整うと、人は被害者的な関わりから抜け出し、自分の選択に責任を持てるようになります。結果として、成功にも失敗にも過度に振り回されず、次の一歩を選び続けることができます。
自己基盤とは、揺れないことではありません。揺れながらも、自分の基準に立ち返り、選び直せる力です。この講座は、これまでの選択を責める時間ではなく、これからの選択を取り戻すための時間なのです。

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久